展覧会概要

アーサー・トレス(Arthur Tress・1940-)は、はじめドキュメンタリーの写真家として出発したが、70年代の初め頃から次第にシュールリアリスティックな表現に興味を抱くようになり、現実と非現実を混然と融合させながら、人間意識の深層に肉薄する独自の世界を追求し続けてきた。

 ここに展示した60点の作品は、氏の最新作「フィッシュ・タンクソナタ」から抜粋したものである。一見軽いユーモアかポップ風に見える作品群も、実は一皮むけば酸性雨など、自然環境破壊に対立する概念を自由にあやつる恐るべき写真家、それがアーサー・トレスの実像である。