展覧会概要

 田沼先生は本学の大先輩(24期)でもあり、日本を代表する写真家のひとりとして、長年にわたり数多くの作品を写真展や写真集で発表され、これら功績により菊池寛賞、紫綬褒章をはじめとして多くの賞を受賞されています。現在も写真家として精力的に活動する中で、日本写真家協会の会長を務められ、更には本学芸術学部の教授として教鞭をとられています。

 田沼先生は、1949年に東京写真工業専門学校(現東京工芸大学)を卒業後、サン・ニュース・フォトスに入社し、同時に木村伊兵衛氏に師事されています。その後、新潮社「芸術新潮」の嘱託となり、写真取材を一手に引き受けて活動されました。1965年にはタイム・ライフ社と契約を結び、世界各国を取材する中で子供たちの姿に魅せられて以来、今日まで地球の子供たちを撮り続けて30余年、110ヵ国を越える国々を訪れています。また、この13年間は、ユニセフ(国連児童基金)の親善大使である黒柳徹子女史とも行動を共にし、写真を通してメッセージを送り続けています。

 地球上では、いまだに内戦や環境破壊により干ばつや飢餓、そして貧困で苦しんでいる人々が増大しています。作品は、この様な環境の地の子供たちを含めて世界の子供たちの生活や遊びを通して、田沼先生の言葉で「子供は地球の鏡」という子供たちの素晴らしさ、大切さを訴えるとともに地球上の諸状況を伝えています。今回の写真展では、1968年から1986年までの本学コレクションに加えて、新たに今年までの最新作を含めて厳選し、カラー作品60点で構成しています。