展覧会概要

 村井修氏は本学の前身である東京写真工業専門学校を1950年に卒業後、1953年からはフリーランスの写真家として建築、彫刻などの写真を中心に活動を始めます。以後、現在まで40数年、建築写貞の世界で第一人者として活躍され、彫刻作品を対象とし写真では、作家とその作品の解釈をもとに、氏独自の眼でとらえた写真集も多く出版されています。さらには、氏は写貞への情熱と卓越した造形感覚をもって、他の対象にも眼を向けて意欲的な制作活動を続けています。また、村井氏は本学・短大時代から長年、非常勤講師として学生の指導にもあたり、若い写真家の育成にも力を注いでいます。

 本展では、写真家村井修氏の制作活動をたどりながら村井氏のこだわり続けた“空間一光と形”とはどの様に映像化されてきたのか、氏の代表的なシリーズ作品をとおして、その全体像を明らかにしていこうとする企画であります。その内容は、村井氏の活動の原点でもある初期のスナップ作品「記憶の風景」から始まり、石の文化、石と生活を日本全国でとらえた「石の記憶」(ニューヨーク展でも好評をはくし、1990年第6回東川賞を受賞)、村井作品の集大成ともいえる建築を中心テーマとした「写真都市」、世界の彫刻と広場のシリーズ「街かどのハーモニー」、彫刻作品を写真家村井修の空間意識でとらえた「AZUMA」(彫刻家・吾妻兼二郎)、「そりのあるかたち・澄川喜一」など1955年~1995年の作品で構成しています。