展覧会概要

 このたび、写大ギャラリーでは中島秀雄写真展『光への観照』を開催するはこびとなりました。

 写真家・中島秀雄氏は1947年神奈川県に生まれ、1968年東京写真大学(現・東京工芸大学)を卒業と同時に写真家・細江英公の助手となり、写真の表現および技術を研いていきます。特に細江英公オリジナル・プリント展などでプリントを担当し、ファイン・プリントのテクニックをマスターします。そして、1977年独立し、フリーの写真家として写真制作活動を開始します。1980年からは、アンセル・アダムスが考案したゾー ン・システムを本格的に研究し始め、アメリカに渡り、ゾーン・システムのワークショップへの参加、ヨセミテ国立公園の撮影にと精力的に活動していきます。今日では、ゾーン・システムの研究者・実践者として日本で数少ない写真家であります。1995年にはゾーン・システム研究会を創立し、その代表として会員の指導にもあたっています。

 中島氏は、日本およびアメリカの自然を主なモチーフとして、光にこだわり続けています。自然が織りなす“ひとときの光景”に視覚化への熱い気配を感じとり、冷静かつ緻密な造形感覚をもって、作品へと昇華させていきます。最近では、対象へ向ける眼を広げていき、ヌード、ボタニカ・シリーズ、カリフォルニア・ボーディのゴーストタウン・シリーズなどの制作も進めてきています。

 21世紀、デジタル時代に入ってきた写真の世界の中で、中島氏は大型カメラを用い、ゾーン・システムの方法論により、豊な階調を最大限描写することで、銀塩写真におけるモノクロームの美学を探求しつづけています。

 今回、写大ギャラリーにおける中島秀雄写真展『光への観照』では、作者の初期の作品から現在まで(1978年~2001年)の作品53点で構成します。