展覧会概要

 このたび、写大ギャラリーでは鈴鹿芳康展『風曼陀羅』を開催するはこびとなりました。

 鈴鹿芳康氏は1947年横浜市に生まれ、多摩美術大学油絵科に学び、学生時代から版画作品を発表し、版画家として評価を得ていきます。1975年、フルブライト研究員奨学金を得て、サンフランシスコ・アート・インスティテュート写真科で学び、その後は写真、シルクスクリーン印刷、クラフトおよび版画など幅広い創作活動をつづけているアーティストです。写真制作においてはピンホール写真、ポラロイド、デジタル・フォト、X線、シルクスクリーンなどを使い、ユニークな作品を日本および海外で数多くの発表を行なってきています。現在、京都造形芸術大学情報デザイン学科の教授として学生の指導にもあたっています。

 今回の写真展は、鈴鹿氏が1988年以来撮りつづけているフィルムサイズ8×10インチのピンホール・カメラによる風景写真のシリーズより、「風」をテーマとしたものであります。天と地の間をゆく姿の見えない「風」は、すべての移りゆくもの、循環するものの象徴であり、それを、レンズを用いない極めてシンプルな装置であるピンホール・カメラでとらえています。これは自然の大きな意志の神秘をありのまま受け入れ、自己の意思を極力排除して視覚化しようとする行為であり、作者の宇宙観でもあります。陰陽道をはじめとする東洋思想に強い関心をもつ鈴鹿氏は、あらゆる創作活動の中で“流れゆく時間”をコンセプトとして、偶然と必然に導かれた自分を探し続ける旅人であるといいます。

 今回展示する作品は、日本、アジア、アメリカ、オーストラリアなど各地を旅しながら撮影されたもので、180×230cmの超大型カラープリント2点含めて、18点で構成しています。


基本情報

会期 2002年4月8日(月) ~ 2002年6月2日(日) 10:00 ~ 20:00
会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 5号館(芸術情報館)2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分
展示作品 モノクロ/カラー 写真作品 18点
主催 東京工芸大学芸術学部