Silesia 1 ©塚原琢哉

Silesia 2 ©塚原琢哉

Silesia 10 ©塚原琢哉

展覧会概要

塚原琢哉氏は1972年よりポーランドを度々訪れています。塚原氏にとって、近代以後にポーランドを襲った苦悩の歴史と市民の忍耐とを知る事は非常に意義深いものでした。氏は、ポーランドの女王と慕われている「黒いマドンナ」のプロジェクトを完結した1996年、あるきっかけからシレジアという炭鉱が集まる重工業地帯のことを知りました。シレジアで産出される石炭や鉄鋼は、ポーランドがソヴィエト社会主義下におかれていた頃、ロシアに供給されていました。 塚原氏が炭鉱の跡地に立った時、レンガの残骸が建物の痕跡を留めない廃墟となっていました。私たちは今、その廃墟となった建築を“文化遺産”と呼んでいます。しかし、それらの工場が生産した石炭、鉄鋼、電気、化学製品、紡績等は、主に軍需産業に供給されていました。

塚原氏は、この不思議な廃墟を数年かけて撮影し、シレジアがきっかけとなって三部作へと発展させました。それらすべての作品の根底には、戦争と軍需産業との深い関わりへの問題提起が流れていると同時に、作者の平和への強い願いが込められています。廃墟の重工業地帯「シレジア」は、その第一部であり、 2007年にチェコのオストラバにあるフェドゥチアギャラリーで発表されました。しっかりとしたコンセプトに基づいて制作され、独特な色調にプリントされた作品は、見る者に強く訴えかけています。日本では、写大ギャラリーにおける展示が初公開となります。

基本情報

会期 2010年2月16日(火) ~ 2010年3月31日(水) 10:00 ~ 20:00
会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分
展示作品 インクジェットプリント 約40点
主催 東京工芸大学芸術学部
後援 駐日ポーランド共和国大使館

関連イベント

ギャラリートーク

日時 2010年3月6日(土)14:00 ~ 16:00
講演 塚原琢哉

作家プロフィール

塚原 琢哉(つかはら たくや, 1937−)

東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。 1974年に、写真家アンセル・アダムスの招きで、「ある一つの世界」展をカーメル・サンセット・センター(カリフォルニア)で開催。同展をポーランド 12都市で巡回。1975年に、文化庁芸術家在外研修員として、フランス、ポーランドに滞在。1976年にヨーロッパ写真連合ユーロフォトの会員、 1979年にはポーランド芸術写真家協会名誉会員となる。1981年にストライプハウス美術館を設立、現代美術と写真の紹介を始める。1991年に写真陶 板壁画「海原幻想」が大阪に完成。1996年、「マリア幻想」の撮影を完了。ローマ法王ヨハネ・パウロⅡ世に謁見し、ポートフォリオを献上。個展に、 1974年「塚原琢哉の触覚的空間“白い遊び”」(銀座・和光ホール)、1981年「銀の日記」(銀座・和光ホール)、1988年「Ocean Fantasy」グダニスク(ポーランド)、1998年「ポーランドの二つの祈り」コンタックスサロン(東京)等。