中宮寺観音菩薩半跏像

唐招提寺金堂遠望

室生寺五重塔見上げ

展覧会概要

東京工芸大学写大ギャラリーは、1975年に創設され、以来、写真教育の“創造的現場”として、日本および世界の著名写真家のオリジナル・プリントによる質の高い写真展を開催してきました。また、国内外の写真家の貴重なオリジナル・プリントを積極的に収集し、現在までに5,000点以上にもなる、教育機関として有数のコレクションを収蔵し、展示や研究に活用しています。

今年度、写大ギャラリーを学内にて移転し、展示施設の整備と収蔵庫の拡張にともない、新装オープンするはこびとなりました。この写大ギャラリーのリニューアル・オープン記念展として、-よみがえる土門拳「古寺巡礼」新プリント公開-を開催いたします。
写大ギャラリーでは、日本を代表する写真家である土門拳氏(1909-1990)のオリジナル・プリントを、土門氏生前の1978年より、国内で最も早い時期から収集を開始し、その代表作1,200点を収蔵しています。

これらは、世界に誇れるコレクションとして知られ、これまで作品のテーマごとに20回以上の展覧会を開催してきましたが、収集当時のプリントの技術的な問題などにより、近年では、一部のプリントが経時変化によって褪色し、オリジナルの色調を失いかけていました。
そこで写大ギャラリーでは、約2年の歳月をかけ、土門氏のご遺族と酒田市土門拳記念館の協力を得て、色調の劣化が認められるカラープリントを全て新たに制作し直しました。

今回、写大ギャラリーのリニューアル・オープンを記念して、土門氏の名作「古寺巡礼」を、初公開の新制作プリントにて展示いたします。本年は土門拳生誕100年にあたりますが、その掉尾を飾る展覧会として、新しいプリントによって初々しくオリジナルの色調が甦った歴史的な名作を、どうぞご高覧下さいますようお願いいたします。

基本情報

会期 2009年12月14日(月) ~ 2010年2月6日(土) 10:00 ~ 20:00
入場無料
休館日 2009年12月26日(土) ~ 2010年1月3日(日)
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分
展示作品 カラー写真作品 約50点
主催 東京工芸大学芸術学部
協力 土門拳記念館

作家プロフィール

土門 拳 (どもん けん)

1909年山形県生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933年に営業写真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、34年にはドイツから帰国した名取洋之助の設立した日本工房に入社し、対外宣伝誌『NIPPON』で数多くの撮影を手がける。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」をカメラ雑誌などで提唱し、多くの写真家に影響を与えた。1958年『ヒロシマ』で国内外で高い評価を得、筑豊炭鉱地帯の悲惨な状況を取材した1960年出版の『筑豊のこどもたち』は10万部を超えるベストセラーとなる。その後も、仏像や寺院、古陶磁などの伝統工芸品や風景など、一貫して日本の美を撮り続けた。
1979年に脳血栓を起こして昏睡状態となり、その後目覚める事なく1990年に心不全のため死去。

「古寺巡礼」(こじ じゅんれい)

土門拳の晩年のライフワークといえる日本各地の古い寺院や仏像などを撮影した作品。1963年に第一集が完成し、第二集1965年、第三集1968年、第四集1971年、第五集が1975年に出版され、全五冊にて完結した。 法隆寺から始まり、三十三間堂の撮影をもって終了した約15年間の撮影で訪れた寺院は39ヶ所を数え、テキストもすべて土門自身が書き下ろした。