「ロック(六区)の夜」1937~1940年

「出征兵士を送る」1938年頃

「近藤勇と鞍馬天狗」1955年

展覧会概要

本展は、写大ギャラリーが収蔵する約1,200点の土門拳作品の中から、戦前、戦中、戦後にわたって、路上で撮影されたスナップ写真を集めて展示するものです。

昭和の写真界の巨匠 土門拳の生涯にわたる写真作品は、「古寺巡礼」や「文楽」など日本の美術・伝統文化に関わるもの、「風貌」など著名な人物のポートレート、そして「ヒロシマ」や「筑豊のこどもたち」に代表される社会的な問題を扱ったものなどに大別できます。

1950年代より写真雑誌の月例コンテストの審査員を務めながら、「カメラとモチーフの直結」「絶対非演出の絶対スナップ」といった考えに基づく「リアリズム写真運動」を先導した土門拳。土門の作品の中でも、カメラを持って街に出て、それぞれの時代の人々を生き生きと捉えようとしたスナップ写真は、「ヒロシマ」や「筑豊のこどもたち」などテーマを絞って撮影されたシリーズよりもなお、一枚一枚の写真の中に、その時代の社会の状況をリアルに写し込んでいると言えます。

主に中判・大判カメラを用いて被写体を徹底的に凝視し、揺るぎない構図で撮影された「古寺巡礼」や「風貌」などの作品群と、一瞬の間合いで被写体の本質に迫ろうとする路上でのスナップ写真は、一見全く別のジャンルの写真のように感じられますが、常に日本人としてのアイデンティティや美意識への問いかけを続けていた土門にとって、それらは一貫したテーマであったと言えるでしょう。

本展では、戦前の下町の庶民の生活、戦時下の出征兵士を見送る人々、戦後の混乱期、子供たち、デモなど、それぞれの時代を象徴する昭和の日本人の姿を記録した作品を紹介しながら、激しく変化する時代の中で生きる人々のたくましさと、そこに投げかけられた土門の真摯なまなざしを感じていただければと存じます。

基本情報

会期 2015年1月11日(日) ~ 2015年3月29日(日) 10:00~20:00
会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分
展示作品 モノクロ写真作品 50点
主催 東京工芸大学芸術学部

作家プロフィール

土門 拳 ( どもん けん)

1909年山形県酒田市に生まれ。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。1933年に営業写真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指し、1935年、ドイツから帰国した名取洋之助が設立した日本工房に入社。対外宣伝誌『NIPPON』で数多くの撮影を手がける。戦後は絶対非演出の「リアリズム写真」をカメラ雑誌などで提唱し、写真界に大きな影響を与えた。1958年に写真集『ヒロシマ』を刊行、国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960年刊行の写真集『筑豊のこどもたち』は10万部を超えるベストセラーとなる。その後、仏像や寺院、古陶磁などの伝統工芸品や風景など、一貫して日本を撮り続けた。1979年に脳血栓を起こして昏睡状態となり、その後目覚める事なく1990年に心不全のため死去。

写大ギャラリーでは、土門拳の生前に約1,200点のオリジナル・プリントを収集している。