フェリックス・ナダール
「シャルル・ボードレール」1860年

木村伊兵衛
「大内和江」1951年

展覧会概要

19世紀の写真発明以来、肖像は写真において最も人気のある分野として数多く撮影されてきました。営業写真館などで家族の記録として撮影されたもの、社会的な用途や芸術的な表現のために撮影されたもの、あるいは個人的な趣旨に基づいて撮影されたものまで、肖像写真は様々な目的や場面で撮影されてきました。

本展は、写大ギャラリーが保有する1万点を超えるオリジナルプリント・コレクションから、肖像写真の名作を選んで展示するものであり、昨年4月に開催した「肖像−視線の行方」展に続く「肖像」シリーズ第2弾です。

肖像写真は、被写体となる人物がカメラのレンズを見つめている写真と、カメラのレンズから視線を逸らしている写真の二種類に大別できます。

昨年の「肖像−視線の行方」展で紹介した、視線を逸らした肖像写真は、撮影した写真家が、カメラと写真家自身の存在を画面から消すことによって、その人物の自然な佇まいを捉えようと試みた表現と言えるでしょう。

一方で被写体となる人物がカメラを見つめる、いわゆる「カメラ目線」の肖像写真では、写真の被写体となった人物と、写真のこちら側にいる私たちが、まるで対峙しているかのような錯覚を引き起こすだけでなく、カメラのこちら側でその写真を撮影した写真家の存在をも強く意識させます。

本展では、被写体となった人物が写真からこちらへ向ける視線から、そこにいた写真家の被写体への眼差しや、被写体と写真家との関係性、そして、その場の呼吸のようなものまで感じさるような肖像写真を集めて展示いたします。

東京工芸大学は、大正12年(1923年)に創立された我が国で最も歴史と伝統のある写真教育機関であり、本学の卒業生の多くが営業写真館など肖像写真の分野で活躍してきました。本展は、昨年度に芸術学部写真学科において肖像写真の研究と教育を専門とする「肖像写真研究室」が設立されたことにあわせて企画したものです。

基本情報

会期 2014年11月24日(月)~ 2014年12月26日(金) 10:00~20:00
会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分
展示作品 モノクロ写真作品 40点
主催 東京工芸大学芸術学部