
Gama #001,2009年

手榴弾,2008年
展覧会概要
太平洋戦争末期、壮絶な地上戦の舞台となって多くの犠牲者を出し、いまもなお米軍基地問題などによって、日本とアメリカの間で翻弄され続けている沖縄。
本展は、アメリカを拠点に活動する写真家オサム・ジェームス・中川による、沖縄戦の記憶が残る場所をテーマとした、「GAMA」「BANTA」「REMAINS」3つのシリーズから構成されます。
「GAMA」は、戦時中に病院壕や避難壕として使用され、集団自決や虐殺によって多くの住民が悲惨な死を遂げた自然の洞窟内部を、長時間露光で捉えた作品。
「BANTA」は、沖縄戦末期に、追い詰められ逃げ場所を失った住民が身を投げた、海面まで数十メートルの断崖を高解像度のデジタル写真で描いた作品。
そして「REMAINS」は、いまも各地に点在する戦争の痕跡を辿って記録した作品です。
これらの作品は、それぞれ違うアプローチで制作されていますが、どれも沖縄の豊かで美しい風土に沁みついた、人々の悲しみの記憶と歴史を可視化しようとしており、圧倒的な存在感をもって見る者に迫ってきます。
アメリカに生まれ、幼少期を日本で過ごし、沖縄出身の妻を持つ中川にとって、沖縄の過去を見つめることは、自らのアイデンティティを見つめることでもあるでしょう。
本展は、中川が捉えた沖縄を通して、決して忘れてはならない過去へと思いを巡らし、いま現在の私たち自身のアイデンティティと、これからについて考えるきっかけになるのではないかと存じます。
基本情報
会期 | 2014年6月2日(月)~ 2014年8月3日(日) 10:00~20:00 会期中無休・入場無料 |
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会場 | 東京工芸大学 写大ギャラリー 〒164-8678 中野区本町2-4-7 芸術情報館2F TEL 03-3372-1321 (代) 地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分 |
展示作品 | カラー写真作品 25点 |
主催 | 東京工芸大学芸術学部 |
関連イベント
特別講演
本展開催にあわせ、平成26年度日本写真芸術学会年次大会において、オサム・ジェームス・中川氏の特別講演が行われます。一般の方もご入場になれますので、ぜひご聴講下さい。
内容 | オサム・ジェームス・中川 講演 「沖縄 ― GAMA/BANTA/REMAINSについて」 |
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日時 | 2014年6月7日(土) 13:30~14:15 会期中無休・入場無料 |
会場 | 東京工芸大学 芸術情報館1Fメインホール(入場無料) |
日本写真芸術学会 |
作家プロフィール
オサム・ジェームス・中川 (Osamu James Nakagawa, 1962−)
ニューヨーク生まれ。15才まで東京で生活し、その後渡米。ヒューストン大学で写真学修士号を取得。現在 米国インディアナ大学教授。
1995年に「第一回 東京国際写真ビエンナーレ」第2位(東京都写真美術館)。2009年に沖縄プロジェクトに対してグッゲンハイム奨学金を受ける。2010年「第26回 東川賞」新人賞を受賞。2012年「アルル国際写真祭」においてディスカバリー賞ノミネート。
主な個展に「窓:1989-1999」(ヒューストン写真センター、2000年)、「バンタ:沁みついた記憶」(佐喜眞美術館、銀座ニコンサロン他、2009〜2010年)など。主なグループ展として「コモン・グラウンド」(コーコラン美術館、2004年)、「アフター・フォトショップ」(メトロポリタン美術館、2012年)、「戦争/写真」(ヒューストン美術館、2012年)などがある。作品はメトロポリタン美術館、ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館、東京都写真美術館などにコレクションされている。