「鎌鼬 #8」
1965年

「薔薇刑 #29」
1962年

「釧路湿原で舞う」
1994年

展覧会概要

 本展は、世界的に著名な写真家であり本学名誉教授でもある細江英公氏が、平成29年秋の叙勲において、「旭日重光章」を受章したことを記念して、写真展を開催するものです。

 細江英公氏は、1954年に本学(当時・東京写真短期大学)を卒業した後、すぐにフリーランスの写真家として活動を開始しました。細江氏は、学生時代から美術家である瑛九の主催するデモクラート美術家協会の活動に参加するなど先鋭的な活動をしていました。1959年には、川田喜久治、佐藤明、丹野章、東松照明、奈良原一高ら、後に戦後の日本の写真表現を牽引していく若手写真家たちと共にセルフエージェンシー「VIVO」を結成(1961年解散)するなど、その活動は常に注目を集める存在でした。

 その後、日本写真批評家協会新人賞を受賞した「おとこと女」(1961年出版)、三島由紀夫を被写体とした「薔薇刑」(1963年出版)、東北にて舞踏家の土方巽を撮影し、芸術選奨文部大臣賞を受賞した「鎌鼬」(1969年出版)など、肉体をモチーフとした耽美で斬新な写真表現で細江氏は一躍時代の寵児となります。1969年には、米国スミソニアン博物館での個展をはじめとして、国外の美術館やギャラリーでも数多くの展覧会が開催され、今日では日本を代表する写真家として世界的に高い評価を獲得しています。

 また細江氏は、1968年に米国ジョージ・イーストマン・ハウス国際写真博物館の所蔵作品による「世界の偉大なる写真家たち:ジョージ・イーストマン・ハウス・コレクション展」(日本写真家協会主催)を組織し、国内4カ所で開催するなど、写真文化発展に寄与する様々な活動を展開していきます。1975年には本学の教授に就任し、後進の育成に尽力すると共に、まだ国内に写真作品を収集する公的な美術館などがない時代において、写真のオリジナルプリントを収集し、教育に活用する写大ギャラリーの設立を発案し、初代写大ギャラリー運営委員長に就任するなど、本学のみならず、細江氏の我が国の写真界における多大なる功績には枚挙にいとまがありません。

 それら多くの活動が讃えられ、1998年には紫綬褒章を受章、2003年には英国写真協会より特別勲章の授与、2010年には文化功労者の顕彰を受けるなど、国内外で数多くの表彰を受けています。

 本展では、写真家として人間を表現し続けてきた細江英公氏のこれまでをたどる作品を、写大ギャラリーの所蔵作品から選出して展示いたします。


基本情報


会期 2018年1月22日(月) ~ 2018年3月23日(金)
10:00 ~ 20:00 会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分 
展示作品 モノクロ・カラー写真作品 約50点
主催 東京工芸大学芸術学部
企画・構成 吉野 弘章 写大ギャラリー運営委員長


作家プロフィール

細江英公(ほそえ えいこう, 1933生−)

山形県米沢市に生れ、東京で育つ。1951年に富士フイルム主催の「富士フォトコンテスト」学生の部で最高賞を受賞する。翌年、東京写真短期大学(現 東京工芸大学)に入学。1954年同大卒業。1975年に東京写真大学短期大学部教授となり、写大ギャラリー運営委員長に就任。1995年 清里フォトアートミュージアムの初代館長となる。2010年に文化功労者に顕彰され、2017年11月に旭日重光章を受章。東京工芸大学名誉教授。