
エドワード・スタイケン
「セルフポートレート 」
1929年

村井 修
「東京カテドラル聖マリア大聖堂」
1965年

中島 秀雄
「Strange of Light」
1996年
展覧会概要
写真は、これまでの歴史の中で、美術と複雑に絡み合い、科学技術とも深く関係しながら展開してきました。そして今、身近なコミュニケーションのツールとなったばかりではなく、アートの重要な表現手段の一つとなったといえるでしょう。
発表の場や方法も、美術館やギャラリーなどでプリントを展示する方法だけではなく、写真を用いたインスタレーション、プロジェクターやディスプレイを利用した上映、ウェブサイトの利用、そして古くから親しまれてきた印刷媒体の利用なども含めて多様となりました。このように発表の場や方法が広がったことに伴い、写真表現も多様になりました。
技術史の側面から見ると、写真は銀塩だけでなく、プラチナ、鉄塩、顔料、染料など、さまざまな材料を用いて制作されてきました。そして今日、デジタル技術が発達して、インクジェット・プリントが主流になっています。デジタルによるプリントの技術は日進月歩です。その一方で、フィルムや印画紙の供給は狭まりつつあることも確かです。私たちは、気付かないうちに自分たちが持っていた素晴らしい材料を手放してしまうことになるかもしれません。
本展示では、写大ギャラリー・コレクションの中からゼラチン・シルバー・プリントの魅力を最大限に感じられる作品をご覧頂きます。ゼラチン・シルバー・プリントには、他の技法では味わうことができない表面の質感やグラデーションの深みがあります。今回はプリントのクォリティに着目し、グラデーションの豊かな作品を選んだ結果、国内外の有名写真家の作品が多数含まれることになりました。作品の内容も、風景、静物、人物、建築など多岐に渡ります。
皆さまにゼラチン・シルバー・プリントの奥深さや魅力をお楽しみ頂ければ幸いに存じます。
また本展では、今年で10回目を迎えるゼラチンシルバーセッションの展覧会「The 10th Gelatin Silver Session 2019」に合わせ、写大ギャラリーの所有するゼラチンシルバーセッション参加作家の作品を展示いたします。撮影者自身がプリントしたプリントと、同じネガから他の写真家がプリントした写真を並べてレイアウトします。表現の違いなどを見比べてお楽しみ下さい。
主な出品作家
エドワード・ウェストン、イモジン・カニンハム、エドワード・スタイケン、ポール・ストランド、ウィン・バロック、マイナー・ホワイト、石元泰博、柴田敏雄、土門拳、中島秀雄、村井修、渡辺義雄、など
基本情報
会期 | 2019年5月13日(月) ~ 2019年6月30日(日) 10:00 ~ 20:00 会期中無休・入場無料 |
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会場 | 東京工芸大学 写大ギャラリー 〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F TEL 03-3372-1321 (代) 地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分 |
展示作品 | モノクロ写真作品 約50点 |
主催 | 東京工芸大学芸術学部 |
関連企画 | 「The 10th Gelatin Silver Session 2019」 会期:2019年4月26日(金)〜 2019年5月9日(木) ウェブサイト:http://gss-film.com/exhibition/2019 |
企画・構成 | 吉田 成 写大ギャラリー運営委員 |