写真サンプル

「光を集める」
香川県土庄町 小豆島 No.1, 2017年冬至−2018年夏至


展覧会概要

北野謙は、バブル崩壊前後の混迷する東京を長時間露光で撮影した白黒写真のシリーズ「溶游する都市」や、世界各地の様々な文化や立場の集団を訪ねて撮影し、数十人の肖像を暗室で多重露光して一枚の写真に焼き付けた「our face」、日本の歴史において象徴的な場所も含めた国内外各地の一日を長時間露光で撮影したカラーのシリーズ「one day」など、明確なコンセプトで、光や時間の集積によって世界のあり様を視覚化しようとする数々の試みで知られる写真家です。

本展では、日本各地の複数の場所に同時にカメラを設置し、冬至から夏至まで、あるいは夏至から冬至までという約半年間の超長時間露光によって、太陽の軌跡をとらえた「光を集める」プロジェクトによる作品を紹介いたします。

太陽の軌道は、地球の公転により日々少しずつ位置を変え、また、雨や雲など天候により光が遮られたり途切れたりするため、無数の光跡がまるでバーコードのように直線や破線としてフィルム上に記録されます。そして、約半年間という長期間にわたり設置され、風雨にさらされる無人カメラは、内部に光や水が侵入するなど不測の事態もあり、予想外のイメージをもたらすこともあります。

それらは、宇宙のリズムの記録であると同時に、写真家の行為の記録そのものでもあるといえるでしょう。「光を集める」プロジェクトの作品は、2017年に埼玉県立近代美術館などでも発表されていますが、本展では、本学中野キャンパス屋上から撮影された作品の他、未発表の新作を中心に展示いたします。

また「光の集積化」をキーワードに、北野が東日本大震災後に撮影したセルフポートレイト「reflect」や、アメリカで社会的シンボルやモニュメントと一日の太陽を撮影した「day light」、代表作である「our face」シリーズからも作品を展示いたします。



基本情報


会期 2019年9月17日(火) ~ 2019年11月10日(日)
10:00 ~ 20:00 会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分 
展示作品 カラー・モノクロ写真作品 約40点
主催 東京工芸大学芸術学部
協力 MEM
トークイベント 2019年11月9日(土)12:00〜13:30
対談:北野 謙×丹羽晴美(東京都現代美術館学芸員)
同時期開催 東京都写真美術館
「イメージの洞窟-意識の源を探る」(グループ展)
2019年10月1日(火)〜2019年11月24日(日)
http://www.topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3441.html
企画・構成 吉野弘章 写大ギャラリー運営委員長

作家プロフィール

北野 謙(きたの けん, 1968年生―)

東京都生まれ。1991年 日本大学生産工学部数理工学科卒業。1993年よりフリーランスの写真家として活動。1994年 東京の街を長時間露光で撮影した作品「溶游する都市」シリーズで初個展(I.C.A.C.ウェストンギャラリー/東京)。職業や地域など、ある集団に属する人々の肖像を一枚の印画紙に重ねて焼き付けた「our face」シリーズで2004年に写真の会賞、2007年日本写真協会新人賞などを受賞。2011年に第27回東川写真賞 新人賞、第14回岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞。2012年に文化庁新進芸術家在外研修員としてアメリカに 1年間滞在。

主な個展に2010年「our face」三影堂撮影芸術中心(北京)、2014年「いま、ここ、彼方」MEM(東京)、2015年「our face-prayers」Pace/MacGill Gallery(ニューヨーク)、「Now, Here, and Beyond」Rose Gallery(ロサンゼルス)など。東京国立近代美術館やサンフランシスコ近代美術館など、作品は国内外の多くの美術館に収集されている。