瑛九
「芝居」1950年

アン・マリー・ルソー
「アルノーの友人」1991年

レイ・メッカー
「ARRESTATION A-75」1998年

展覧会概要

コラージュやモンタージュのように複数の画像を組み合わせたもの、フォトグラムを始めカメラを用いずに印画紙を直接感光して像を描いたもの、画像の上にペイントを施したもの。写真作品の中には、ストレートに撮影しプリントする以外の方法によって制作されたものが数多く存在しています。
本展では、写大ギャラリーが所蔵する1万点を超えるオリジナルプリント・コレクションから、そのような写真家の手による操作(マニピュレーション)を施された作品を紹介いたします。

写真を操作し作品を制作することは、写真誕生当初から行われてきました。19世紀末から20世紀初頭には、絵画的な画面を得るために、写真や写真のネガを結合した作品が多数制作されました。また、1920年代頃にはマン・レイやモホリ=ナジらや、ダダイストやシュルレアリストにより、「フォトグラム」「フォトコラージュ」「フォトモンタージュ」などが盛んに制作されました。

写大ギャラリーの初代運営委員長であり、「オリジナルプリント」を展示・収集し教育に活用する目的で写大ギャラリーの設立を提案した細江英公は、ストレートな写真だけではなく、マニピュレートされた作品も、視覚表現としてもっと評価されるべきであるとの考えを持っていました。そして同時代に制作・活動する作家の展覧会を開催するなど、既成の概念にはまらない表現方法として積極的に紹介していました。

本展では、コラージュ、モンタージュ、フォトグラム、ソラリーゼーション、彩色、またそれらを組み合わせたものなど、写真家による多様な操作を施された作品を、1980年代以降を中心にご紹介します。デジタル写真の現在、画像の操作はデータの上で、ますます容易に頻繁に行われています。アナログ写真の時代に、「撮る」ことだけによらないで作り上げられたこれらの写真は、手による作業という人の介在や写真の物質性を感じさせながら、現実とは異なるイメージによって、写真とは何かを考えさせます。

写大ギャラリーの所蔵するユニークな作品群から、操作という視点でまとめることにより写真の多様な表現とともに、写真プリントの物質性による面白さをご覧ください。


主な出品作家

オスカー・ギュスターヴ・レイランダー、ヘンリー・ピーチ・ロビンソン、中山岩太、郎静山、瑛九、レイ・メッカー、ピエール・コルディエ、ジョアン・フォンキュベルタ、アレン・ダットン、ノーマン・ロックス、コリーン・ケニオン、細江英公、アン・マリー・ルソー、ウシャ、クー・ボンチャン、ヴァレラ&ナターシャ・チェルカシン、河野安志、伊藤義彦 ほか


基本情報


会期 2019年11月18日(月) ~ 2020年1月13日(月)
10:00 ~ 20:00 入場無料
*2019年12月28日(土)〜2020年1月5日(日)は休館
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 芸術情報館2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分 
展示作品 カラー・モノクロ写真作品 約50点
主催 東京工芸大学芸術学部
企画・構成 深尾 美希子(写大ギャラリー専門職員)