「ロック(六区)の夜」
東京 浅草
 1936(昭和11)年

「傷痍軍人」
東京 上野
1951(昭和26)年頃

「楯」
東京 大田区羽田
1967(昭和42)年

展覧会概要

 本展は、写大ギャラリーが収蔵する約1,200点の土門拳作品の中から、戦前から戦後にかけての東京を舞台として撮影された作品に焦点を当てて展示するものです。

 土門拳は、1935年に「報道写真」の理念をドイツから日本に持ち帰った名取洋之助の主宰する日本工房に採用されたことをきっかけとして、本格的に写真家としての人生をスタートさせます。その後、外務省の外郭団体である国際文化振興会や、内閣調査研究動員本部などを経て、終戦を機にフリーランスとなった土門は、カメラ雑誌などで絶対非演出の「リアリズム写真」を展開し、昭和の写真界に大きな影響を与えました。

 本展では、戦争の気配が漂う戦前戦中の東京、そして終戦後の混乱から復興へと向かう東京まで、激動の時代に変わりゆく東京で逞しく生きる人々を見つめ続けた土門の作品を紹介いたします。

 令和のいま、東京はまた大きく変わろうとしていますが、本展では、時代が大きく動いた昭和の東京を、土門がどのように捉えたのか、時代と人々を見つめる写真家としての確固たる土門の視線を、改めて見直す機会になればと存じます。

 なお本展は、第39回土門拳賞の協賛企画として開催するものです。




基本情報


会期 2020年3月9日(月) ~ 2020年4月7日(火)
*新型コロナウィルス感染症の影響により、上記に会期を短縮して開催いたしました
10:00 ~ 20:00 会期中無休・入場無料
会場 東京工芸大学 写大ギャラリー
〒164-8678 東京都中野区本町2-4-7 5号館芸術情報館)2F
TEL 03-3372-1321 (代)
地下鉄丸ノ内線/大江戸線 中野坂上駅下車 1番出口・徒歩7分 
展示作品 モノクロ写真作品 約50点
主催 東京工芸大学芸術学部
協賛 第39回土門拳賞(毎日新聞社主催)
企画・構成 吉野 弘章 写大ギャラリー運営委員長

作家プロフィール

土門 拳(どもん けん,  1909 - 1990)

山形県酒田市生まれ。7歳で家族と東京へ移り住み、その後横浜で学生時代を過ごす。中学時代より画家を志すが、家の事情で断念。
1933年に営業写真館である宮内幸太郎写真場の内弟子となるが、報道写真家を目指して1935年に名取洋之助が設立した日本工房に入社し、日本の文化や産業、人々の暮らしを撮影する。
戦後はフリーランスとしての活動を開始し、1958年に写真集『ヒロシマ』(研光社)を刊行し国内外で高い評価を得る。筑豊炭鉱地帯の窮状を取材した1960年刊行の写真集『筑豊のこどもたち』(パトリア書店)は10万部を超えるベストセラーとなった。
晩年のライフワークとなった「古寺巡礼」シリーズでは、仏像や寺院の撮影を約40年にわたって続けるなど、一貫して日本を撮り続けた。